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異世界との交流10<マルクトルーク ...20081224 * マルクトルーク

(♪)第十弾。あと一話で終わるとか言ってましたが、もう一話続きます。

仕方ないので泣く泣く “久しいな、ルーク” の暢気過ぎる書出しの続きに目を通す羽目になったが、予想に反し、読み進める内にルークの表情は硬化していった。

何度も何度も同じところを読み返し、必死にその意味を嚥下しようとしているのが傍目にも分かる。

それから、どれくらい経っただろうか。満足行くまで繰り返し読んだらしい紙切れを、ルークは突如無言で引き裂き始めた。ぐしゃぐしゃびりびりなんて生易しい物ではない。何故かじょりじょりという妙な音まで立てて紙を細切れにした彼は、それでもまだ不満なのか、次いで何故かここでも使える超振動の力で塵すら残さず完全に消し去った (まるで凄惨な殺人現場の証拠隠滅のようだとのっぺらぼうもどきは思ったが、懸命にも口に出すのはやめたようだ)。


「…………」


光となって消えていく紙切れを、じっと見守るルーク。あくまでも無言である。背後では某少将も時折背負う般若がカッと目を見開いて周囲を威嚇していようとも (流石ののっぺらぼうもどきさえ、うっとなって一歩後退りしている。人間の迫力じゃねぇ)、やはり無言である。嵐の前の静けさがそこにあった。


『…そう怒るなよ。自業自得だろ』
「……」
『…………ローレライの』


揶揄するように声を掛けたのっぺらぼうもどきだったが、ルークの一睨みで急遽方向転換を決めたらしい。自業自得を引き起こしたのはローレライだったことにして、恨みの矛先を変えさせた。逃げたとも言う。…こののっぺらぼう、偉そうな癖して案外へたれていたらしい。

一方ルークはそんなのっぺらぼうもどきを温度のない目で一瞥した後、一つため息を零しつつ頭(かぶり)を振った。般若も徐々に輪郭を失っていく (のっぺらぼうは密かにほっと胸を撫で下ろした)。


「数年前から続く魔物の大量発生で、多くの負傷者が出ていた。ダアト、キムラスカ、…マルクト。幸い死者は少なかったけど、ゼロじゃない」


ふー、と今度は深く息を吐き、彼はそっと自分の目元に手をやった。普段顔半分を隠している布が、今はない。逆に今も尚彼を包むのはマルクトを象徴する青い軍服。“前回” では何も知らないキムラスカの公爵子息だったのに、今は……。


「…この数年、忙しかったけど毎日が充実していた。人も沢山殺した、…いつの間にかそれにも慣れた。けど沢山の人に必要とされて、凄く嬉しかった。……俺は、“二度目” があった事に心底感謝していた」


誰に聞かせる訳でもなく独白のように呟いて、彼は静かに目元を覆った。様々な感覚を狂わす暗闇。それへ対抗出来るが故に、邪視使い(イビライヤー)の異名を取った自分。最早それらに対する違和感すら忘れてしまったが、それは彼にとって誉れでもあったのだ。


「―――でも、その皺寄せが、こんなところに出ていたなんて……」


ジェイドは、とっくに気付いていただろう。ルークも実のところ、薄々感付いていたが気付かない振りを続けていただけだった。―――近年オールドラントを騒がしていた魔物の異常大量発生が、ルーク達が過去を改変したことによる弊害であったのだと。



―――お前達が作った歪みが、抑え切れないまでに大きくなった。今まではそれが魔物の大量発生という形で出ていたが、そろそろそれだけでは済まなくなる。



あの紙には……オールドラントの管理者たるローレライからの手紙には、確かにそう書いてあったのだ。

果たして何度、軍令により魔物の討伐へ赴いた事か。それを利用して “傷” を本物と認識させ、原因調査の最中に黒獅子と出合った事も、ルークにとってはまだ記憶に新しい。しかもマルクト軍では日常訓練の中にさえ魔物相手の実践が入り始め、思えば今まで死者が比較的少なく済んでいたのが奇跡と言える程だった。

それが全て、自分たちのエゴの所為だったなんて。愕然としたし、ふざけんじゃねぇと声を大にして言いたかった。


『後悔しているのか?』
「まさか」


不意に意地悪く問うたのっぺらぼうもどきに、ルークは即答で返した。そう、まさか後悔などするはずがない。…しては、ならないのだ。答えを口に出してから、改めて彼は頷いた。


「俺達が動かなければ、この先もっと沢山の犠牲が出る。それを知っているからこそ、俺は俺たちが取った選択肢を疑わない」


戦争、大地の崩落、障気。そもそもローレライが管理人としての仕事をサボっていようがいまいが、世界は崩落へ向けて進んでいたのである (…と言うか、もしかして “前回” それが起こったのは、まさかローレライの職務怠慢が原因だったのではないだろうな。ルークの脳裏にちらりと懸念が浮かんで消えた。…とりあえずこれも保留にして置こう)。


「それに、その為に俺達が “ここ” にいるんだろ?」


ルークが薄っすらと笑い、異世界の管理人を見やる。既に消えたローレライからの手紙には、こう続けられていたのだ。



―――よってお前達の作った歪みはそのままに、オールドラントの方を歪みへ合わせる事にした。最大の歪みたるお前達には、オールドラントの修正が終わるまで他の世界を転々としてもらう事になる。



これはつまり、ローレライがルーク達の良いように歪みとやらを処理してくれると言う事だろう。相変わらず奴の言葉は今一わかり難いが、ルーク達が作った歪みが “前回” との相違を指すのならば、相違点はそのままに歪みを歪みではなくす…。……?

…ぶち当たった壁もとい言葉の意味不明さに、ルークはまたちょっとイラッと来ていた。ぶっとい血管が額に浮くのを素早く押さえ、胸の内で荒れ狂う何かを吐き出すように深々と息を吐く。深々とし過ぎてふーふー言ってる姿は手負いの獣のようだが、本人はまったく気付いていない。頭の中は 「冷静になれ!」 の言葉で埋め尽くされていて、とても外観にまで気を使っていられる状態ではないらしい。

……。…よし、落ち着いた。しかし奴の言葉は本当に分かり難い。分かり難過ぎる。ルークは薄っすらと怨念を醸し出しながら思った。

態々フォニック文字 (しかも書き慣れてないのが丸分かりな稚拙な文字と文面) で手紙を書いてまで自分の言葉を伝えたいのなら、せめてその内容をはっきりさせて欲しいと思うのは我侭だろうか。これではさっぱりわからない。歪み? そこから憶測で語らなくてはいけないなんて、理解を諦めているのか、奴曰く魂の片割れたるルークに以心伝心でも期待しているのか。どちらにしろ迷惑である。ちょっとユリアの時代から人生やり直して来い。いやいっそ音素からゴホンゴホン。

…だが、まぁ、とにかく。ニュアンスとローレライのルーク贔屓っぷりとフリーダム具合を考慮すれば、世界の管理人らしく色々調整してくれるのだと考えるのが妥当だろうか。甚だ不安だが。

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