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※TOASSについて※
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異世界との交流8<マルクトルーク ...20081218 * マルクトルーク

第八弾。無意味にセフィロトの門も登場。

『……のっぺらぼうは、酷くないか…?』


暫くして、先に我に返ったのはまたもやのっぺらぼうの方だった。ルークもまた時間の経過と共に正気を取り戻し、引き攣った顔でのっぺらぼうを見る。つるんとした顔と胴体が何とも哀愁を誘った。どうしよう、見てはいけないものを見てしまった気分。

…とりあえず見なかった事にするしかないだろう。むしろこれ以上見ちゃ駄目だ。ルークは静かにのっぺらぼうから視線を外し、随分遠くまで飛んでいた鍵へ手を向けた。同時に、そろそろ被験者ではなく自分の頭皮を心配すべきかという考えが頭を過ぎったが (数分前、某人間マッチからも同様の心配をされた事をルークは知らない)、悲しくなるのであえて気付かなかった事にする。

次いで怨念混じりに念じれば、ぞんざいな扱いを受けた鍵は一旦その場で分解され、大人しくルークの手の中に再構成されたのだった (余りあっても嬉しくないが、無いよりはマシである。色々と)。


何かもう疲れた。本当にやってられねぇ。ローレライちょっと出て来い。ルークは鍵をローレライの首と思ってきゅっと握り締め (ヒビが入ったものの、再構成すれば何事も無かったように元に戻る。それにムカついたルークは無意味に同じ動作を繰り返してしまった)、あいた手でひくひくと引き攣るこめかみを押さえながら、改めてのっぺらぼうへ視線を移した。


「のっぺらぼうじゃないなら、何なんだよ?」


ちなみに、もしかしてローレライが変装しているのか? とは微塵も思っていない。出てくるなら奴だろうと踏んでいたのに期待を裏切られて腹立たしいが、どう見たってこののっぺらぼうもどきはローレライではないのだ。似ているが違う。何と言えば良いのか…言葉で言い表せない感覚が、何とももどかしかった。

あとどうでもいいが、「いか」 の続きも気になる (初対面の人間を 「イカ」 と称した訳でもないだろうし。…ないよな?)。そんな事を思いながらも、あそこまで半狂乱な姿を見せてしまった手前今更取り繕うのもどうかと思い (そして完全に素を晒すのも躊躇ってしまい) 微妙な顔をしていると、のっぺらぼうもどきは軽く笑ってぴしりとルークを指差した (ずっと立っていた人差し指はこの為だったらしい)。


『改めて挨拶してやるよ。よく来たな、異界の人形。聖なる焔の光。俺は…まぁ、この世界の管理人だ』


世界の管理人。冗談のような言葉だが、ルークは素直に受け取ってさっと意識を切り替えた。子供から大人へ、苛立ちを警戒へ。


「“いか” いの人形、か……」


意識を切り替えようと、口の中ではどうでも良い事に納得していたのはご愛嬌。顔を上げた彼らからは既にその能天気な意識も消え失せている。そしてそうと悟られないようにひっそりと剣を構え、彼は僅かに微笑みながら首を傾げて見せた。


「俺がここに居るのは、あんたの力か?」
『まあ、そうだな』
「なら何故俺だけここにいる。ジェイドはどうした」


凪を装っていても、深いところではずっと焦りが津波を起こしていた。抑えきれず矢継ぎ早に問うてしまう。


『人間がここに来るには条件がある。お前は人間ではないから、あの錬金術師との接触だけで此方に引き寄せる事が出来たって訳だ』
「……あの錬金術師? エドワードのことか?」
『他にいるか?』


人間ではない、と随分久々に聞く言葉に顔を顰めるはするものの、そこには触れずエドワードについて言及する。気配を思い出す限り彼は普通の人間のようだったが、不自然に欠けた四肢が何か関係するのだろうか。

…そう言えば、もう一つ気になる事があった。弟として紹介されたアルフォンスの事だ。

彼は確かにそこにあったが、同時に存在しなかった。声はしたし、気配だって微弱にでもあったようだ。ただしこの場合の気配とは人の放つそれではなく、物の持つそれ。偽物の傷によって完全に視覚が使えないからこそ、ルークには不気味な矛盾がひしひしと感じられていた。

これは自分が突っ込んで良い問題なのかと黙り込むルークを、どこか愉快そうに見ていた世界の異管理人が、不意にくるりと背を向けた。いつの間に出現したのか、その傍らには巨大な石造りの門が浮いている。


「…!」
『身の程知らずな錬金術師だ。あいつは既に二度ここを訪れている。これからも何度も来るだろう』
「……」
『他の錬金術師よりはずっと俺に近い。だから、人でないお前を呼ぶのには、お前があいつと触れるだけで十分だったって訳だ。理解できたか?』


異世界の管理人が徐に腕を広げると、石造りの門が重々しい音を立てて僅かな隙間を作った。今現在ルークたちが居るところとは正反対の、吸い込まれそうなほど真っ黒な空間。絶望と人の闇を具現したような、光を拒絶する漆黒。それが門の向こうに見える全てだった。

開いた隙間を無理矢理こじ開けるようにして、無数のルークに伸びてくる。しかし彼はあえて抵抗しようとはしなかった。ただじっと白い人を見、黒い手が肌に触れても為されるがままにしている。


「…これは?」


何とも不気味で悪趣味な演出だ。

触るのは許したが、門の向こうへ連れて行こうとするのは許さない。強い力で腕を引く黒い手を、問答無用でローレライの鍵で斬り捨てる。すると漸く、それは門ごと姿を消した。ルークの顔が不愉快そうに歪み、出す声も自然と低くなる。


「もう一度聞く。…今のは何だ?」


子供のように小さくて、それでいて異様に長い無数の手。色は闇のように真っ黒。触られた感触は只管に冷たかった。

何故だろうか、…とても、とても胸が苦しい。あの手を思い出すと、深いところに押し込めたはずのドロドロとした感情が溢れ出て来るようだ。二度と見たくもない……のに、あそこには “何か” があった。ルークが惹かれて止まない、暗い暗い “何か” が。その正体が掴めないながらも、彼はそんな自分に嫌悪感と目眩(めまい)を覚えていた。

まだ敵か味方かもわからない相手に、それを悟らせる愚を冒したりしない。それでも異世界の管理人は全てを見通したように楽しそうに笑い、軽い口調で答えたのだった。


『錬金術師は真理と呼ぶ』
「今のがか? どこが真理だっつーの」
『門を潜ればわかる。入ってみるか?』


入りたいのだろう、と言わんばかりににたにたと異世界の管理人は笑う。そんな笑みを見てもまだ喜んで乗ってやれるほど、ルークは素直ではないし無謀でもなかった。


「―――遠慮しておくよ」

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