コメント返信(65)スレ(?)ルーク(14)マルクトルーク(59)他TOASS(8)よろず感想(32)ネイル(10)未分類(22)top
※TOASSについて※
・連作の場合まずブログに仮UPし、ある程度話数が溜まってから1ページに纏め、Novelに本UPします。
(♪) が付いているSSは、まだNovelからリンクが繋がっていない (=本UPされていない) 作品です。
・単品はブログを経由せず、そのままNovelに掲載致しますのでご注意下さい。

スポンサーサイト ...------ * スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

異世界との交流5<マルクトルーク ...20070804 * マルクトルーク

第五弾。色々すっ飛ばして漸く合流。

「ジェイド! ジェイド助けてくれ!! 俺もーぉ耐えられない!!」


少し離れた所にある窓から身を乗り出しつつそう叫んだのは、懲りず腹の探りあいもとい異文化交流をしていた自称マルクト帝国軍大佐の部下兼息子。彼は頭部に巻かれた朱色の布を靡かせながら、目の辺りをまるで嘆き悲しむ乙女のように両手で覆って蹲る。

ちなみに余談だが、今現在少年の身体が乗っているのはアルミ製の細い窓枠の上である。そこは当然乗るのは勿論両手を離して蹲るのには適さないし、そもそも現在地は3階。わぁ、あの人バランスいいなぁ、とアルフォンスが感嘆し、え、ちょ、待てあいつどうやって上ってきたんだよ!? とエドワードが絶叫する。

ロイはと言うと、窓からの侵入者に中指と親指を合わせ着火準備万端だった手を向けたは良いものの、少年が余りにも情けなく気の抜けるような様子だった為、ややそれを下ろそうか下ろすまいか迷いつつもため息を吐いた。


「ルーク・カーティス君。マルクト帝国とやらでは軍司令部に窓から入るのが礼儀なのかね?」
「皇帝が床から侵入する国なんだから諜報員の俺が窓から侵入したって可笑しく無いだろ!? つーかあんたの親友をどうにかしろ! 何だアレ何だアレ何なんだマジで!!」


未だ窓枠の上で蹲ったまま激しく頭を掻き毟り出したルークに (あぁ、確かに凄いバランス感覚だ)、ロイは同じ男として彼の頭皮の将来を心配しながら、ふむ、顎に手を当て考え込む。親友? 誰の事だ。そんな奴いただろうか、いや居まい。


「という事で無理だ」
「何がという事なのかさっぱりわかんぬぇーよ!!」
「ルーク、落ち着きなさい。今すぐ口を閉ざさないと、貴方の上唇と下唇を縫い合わせますよ?」


そう言ってジェイドが何処からか取り出したのは、先の鋭い針と光る糸 (コンタミネーション現象の無駄遣い)。こいつ、本気だ。ロイは思わず血の気の引いた顔を引き攣らせ、同じような有様になって黙り込んだルークに同情の視線を送った。

それから助け舟のつもりは更々無いが、とりあえず窓枠から降りて来るように言う。同席している部下共々警戒は怠らないものの、ブルブル震えながら律儀に窓を閉めて此方にやってくる少年の姿を見ると、何やらやたらしょっぱい思いを禁じ得ない。


「さて。落ち着きましたか、ルーク」
「はぁ、まぁ、否応無く。ごめん、ちょっと思考が親馬鹿に侵食されてたみたいだ」


親馬鹿。その言葉に、彼のあの取り乱しようの理由が鮮明になった。彼がロイ達の前から逃走して早数時間、一体その内の何割を家族自慢に費やされたのだろうか。知らず地雷を踏んだのであろうが、何と哀れな…。


「だってお前、写真が見れないんじゃグレイシアの美しさは勿論エリシアちゃんの愛らしさも全く伝わらねーだろ! だから俺が精一杯二人の美しさと愛らしさを言葉で表現してやったのに、司令部が見えた途端先に行きやがって!」
「うぅぅぅうううっぜぇええええ!!! グレイシアさんとやらが綺麗でエリシアちゃんとやらが可愛いのは十分分かったけど、余りにも詩的な表現過ぎて酔ったっつーの!!」
「ほほう、俺の言葉に酔ったか…」


妙なポーズで格好付けながら、満更でも無い風にヒューズが応える。ちなみに彼はルークが一度落ち着いた頃、きちんとドアから入ってきた身だ。ノックは全く無かったが (全くどいつもこいつも…)。

まぁ、それは兎も角。やれやれ、付き合ってられませんねぇ、とでも言いたげに首を振っているジェイド、そして荒い息を懸命に宥めようとしているルーク (この辺りにエドワードとの差を感じる。聞く所によると一つ違いらしいが、身長共々差は大きい) を順に一瞥してから、ロイはまず大佐としてヒューズに声を掛けた。


「ヒューズ中佐、ルーク・カーティスの連行ご苦労。報告を」



+++++



目の前で行われる、ここに至るまでの自分の経緯。トイレで確保したと言われた時は室内に居る全員から微妙な視線を送られ、マルクト軍人としての詳細 (先ほども大声で言ったが、ルークは自分が諜報員である事を隠していない。と言うか特に驚いた様子も無かった事から、ロイ達も既にジェイドから聞いていたのだろう) が改めて明かされた時は、室内の空気が若干張り詰めたようだった。

だがそれでも拘束されなければ銃も向けられない上、恐らくは司令官だろう男から引き離されもしないのだから、余程ジェイドの良く回る舌の活躍が素晴らしかったらしい。しかし、一体何処まで話したのやら。


「ジェイド。俺達の力の事はもう話したのか?」
「ええ。理不尽な扱いを受けるとついうっかり暴走してこの辺り一帯を消してしまうかも、と注意もさせて頂きました」


それは注意じゃなくて脅しである。彼が一切拘束されず優雅にコーヒー (げ、何か不味そうな匂い…) を飲んでいたのには、そんな事情があったのか (少し無謀な気がする。一歩間違えば問答無用で殺されかねない)。ルークは微妙に呆れながらもお疲れ様、と呟き、ジェイドの隣に腰を下ろした。いりますか? と飲みかけのコーヒーを差し出されたが、いらん、と問答無用で突っ返す。只でさえブラックは好きではないのだ。


「…なぁジェイド。聞いたか? “ここ”、一年が365日なんだって」
「一日が24時間なのは同じようですね。あぁ、それと家畜はいても魔物はいないのだとか。音素の原理も全く浸透していません」
「預言について聞いたら、なんじゃそりゃ信じる馬鹿なんて滅多に居ねぇよ、って返された」
「それはそれは。“あちら” の皆さんにも見習って欲しい物ですねぇ」


会話を続ける内にルークの口元は引き攣って行き、ジェイドの視線は生暖かくなって行く。やっぱりコレは、信じたくないがアレだろうか。いやまさか。


「ジェイド、ゴメン…」
「いえ、来てしまったものは仕方がありません。未だ信じられませんが異世界なんて滅多に来れる物ではありませんし、………ですが後でお仕置きされる覚悟をして置きなさい。それと暫く超振動でのショートカットは禁止です」
「…………いえっさー……」

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。