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※TOASSについて※
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冒険7<マルクトルーク ...20070630 * マルクトルーク

運命編後半。今回のヤラレ役はアスランさーん!

そう、その女性は間違いなくジョゼット・セシルと言う名のキムラスカ軍将校であったのだ。戦闘も何もなかったのに何故彼らが出会いああして話し合っているのかはわからないが、その表情を見る限り恐らくはこれが初対面。


「……誰だ?」
「ジョゼット・セシル少将。キムラスカの将校です」


ジェイドが答えながら、一人だけ事情を知らないピオニーを路地裏へ引っ張って行く。いくらジェイドとルークが彼女を知っていても、彼女にとって此方はあくまでも敵国の軍人と皇帝だ。特に遺恨のあるジェイドと国の頂点たるピオニーは、変装 (?) していても隠れるに越した事はない。

しかし一応彼らと一緒に路地裏に引っ込んだルークは、ぶっちゃけアスランとジョゼットの邂逅に首を突っ込む気満々だった。いそいそと道具袋から愛用の目隠しを取り出し、しゅるしゅると音を立てながら皺を伸ばしていく。


「ルーク、アスランならば適当に誤魔化して逃げられると思うぞ?」
「いえいえいえ、駄目ですそんなの!!」


態々お前が助けに出る必要も無いのでは、と言うピオニーに、鼻息荒く否定を返すルーク。ジェイドはやれやれ、とでも言いたげにため息を吐くだけで、止める気配は全く無い。


「陛下、これは運命って奴なんです! 絶対これからもあの二人は何度も顔を合わせますから、第一印象は少しでも良くしといてやりたいじゃないですか! 人が折角長い距離歩いて何度も何度もメッセンジャーになった挙句昼メロ並みの展開にも巻き込まれてやったんだから、今度こそ!」


友人に対する純粋な思いやりと思いきや、さりげなく自己中心的な理由だった。ピオニーはその凄まじい剣幕にうっと一歩後退りそうになったものの、何とか堪えて (ついでに不自然な台詞も聞かなかった事にして)「そ、そうか」 とだけ答える。鼻息荒く恐れ多くも皇帝と死霊使いを壁にして仮面から目隠しに装備を変えたルークには、最早何を言っても聞き入れて貰えないに違いない。


「行って来ます!」
「はい、行ってらっしゃい」


やや唖然としていた皇帝を差し置いて、ルークはピシッと敬礼を、ジェイドははっはっはと笑いつつ手を振っている。ピオニーは思った。「何で俺こいつらの上司やってるんだろう……」 と。

彼らが聞いたら一部改変してそっくりそのまま返されるだろうが、と言うか何度か面と向かって何で貴方の部下なんてやってるんだろう、と言われてしまった事があるが (最近本当に遠慮が無くなって来ている)、結局は彼自身一癖も二癖もあるピオニーは、この時綺麗さっぱりその事実を忘れていたのだった。

それはさて置き。ジェイドは路地裏からさり気なく顔を出して、出て行った息子と一応上司の青年を見やった。早くも息子は例の男女に接触を果たしている。


「すみません、私の連れが何か?」
「! 貴殿は……!」


ルークの方は “今回” まだジョゼットと接触した覚えが無い様子だったが、彼女の方は違ったらしい。驚きに目を見張り突如乱入してきた少年と銀髪の青年を交互に見、何かに納得したのか拘束するように掴んでいた青年の腕を解放している。

次いで失礼した、と潔く頭を下げ謝罪するジョゼット (相変わらず、真っ直ぐな女性である)。アスランはほっと安堵したように息を吐き、いいえ、と控えめに返していた (何だ今日は妙に腹が白いな) 。喜ぶべきか、その表情に負の感情は全く見受けられない。本来は穏やかな気性の青年だ、まぁそんな物か、とジェイドは納得して観察を続ける事にした。


「…お知り合いですか?」
「いいえ? 失礼ですがお名前をお聞きしても?」


アスランの不思議そうな声に、ルークはそ知らぬ振りで誰何する。もし本当に知り合いだったとして、失礼ですがと言わずとも相手に不快さを感じさせないのは、明らかに盲者である外見が齎すメリットの一つであろう。しかしそうでなくともやはり彼らの間に面識はなかったようで、彼女は一度首を左右に振って否定した。


「失礼致しました、私はジョゼット・セシルと申します。私が貴方を一方的に存じ上げているだけですので、ご存知でなくても不思議ではありません」


自分の職業とルークの正体を明確にしないのは、アスランの正体が未だ掴めていない所為だろう。だがそれでも彼の腕を外したのは、その一方的に知っている事実がルークならば信用するに値すると思わせ、結果その連れであるアスランも少なくとも不穏分子では無いと判断した故か。

つまり彼女は既に、少なくとも朱色の布で顔半分を隠している少年が、和平の為に活動してる事は知っているらしい。恐らくはファブレ公爵辺りに教えてもらったのだろう。ルークもそう検討を付けたのか、にっこりと笑ってあぁ、と頷いていた。


「お名前だけはファブレ公爵からお聞きしていました。セシル将軍、意外な所でお会いしましたね」
「…ええ」
「ちなみにこちらはアスラン、一応同志です」


不意に隣で耳を済ませていたピオニーが、ぼそりと 「あいつ、あの口調、なんか既視感が…」 などと言いながらジェイドを見た。ルークが敬語で駆け引き紛いの事をする時は、自然とジェイドのそれをなぞった様な言い回しになるのは、別に今始まった事ではないのだが。それなのにこうして態々口にするのは、嫌味のつもりだろうか。

しかしジェイドとしては微妙に嬉しいとも面白いとも思っていたので、はははは笑ってただ 「羨ましいでしょう」 と返しておいた。一方 「けっ」 と吐き捨てるように返した皇帝だったが、確かに少し羨ましそうな雰囲気を醸し出していると気付かぬ死霊使いでは無い。はははは笑いを更に深め、彼は妙な優越感に浸りながら視線を息子+αに戻したのだった。


そんな些細な攻防の間にも、ルーク達の会話は進んでいた。彼がジェイドの影響を多分に受けた (だが悪印象を与えたくはないのか、棘がほぼ取り除かれた) 話術で巧みに事情を聞き出した事には、どうやらアスランはとある詐欺師と特徴が似通っていたらしい。個人的な因縁があって (曰く大事な友人がそれに引っかかってしまったとか) 休暇を利用し一個人として捜索していると言うジョゼットに、ジェイドはルークの瞳がキラリと光った事を直感した。


「情報ではこの街にいる筈なのですが…」
「あぁ、ならば彼をお貸ししましょう」
「「は?」」


戸惑う男女の鋭い視線もなんのその、(某大佐に似た雰囲気で)にこにこ笑って畳み掛ける。そんなルークの意図が見えたジェイドは、ピオニーにいつでも走り出せるよう、目で合図してからほくそ笑んだ (あぁ、これでまたあの面倒な事この上ないメッセンジャーをせずに済む。ついでに悪い虫予備軍の排除も出来ただろう。これぞ正に一石二鳥!)。


「いえいえ、きっとこれも何かの縁でしょうから、どうか遠慮なさらず。一人よりも二人の方が効果的ですし」
「いえ、その」
「私は先を急ぎますのでお手伝いできないのですが、アスランさんなら二人分以上の働きをしてくれるでしょう。紳士な上優秀ですよ、お買いどkゴホンゴホン、きっとお役に立てるはず」
「いえ、ですから」
「じゃあアスランさん、先に行ってるから!」


余りにも強引な展開に、ジョゼットは元よりアスランまで呆然と突っ立ったまま、走り去るルークの後姿を見送ってしまっている。初対面の男女が行き成り仲良く手を取り合って詐欺師捕縛に掛かるなどと、幾らなんでもあんまりと言うか有り得ない。だが生憎と一行の中に (彼らをフォローしてくれる様な) 常識を持ち合わせた人間など居はしないのだ。我に返ったアスランが追いかけて来る前に、ジェイドとピオニーもまた走り出していた。つまり置いてけぼり決定、未だ混乱中の両少将に合掌。


―――約二週間後、アスランは若干絞まりの無い表情をしながら一行に合流した。彼らの間に何があったのか、下手に首を突っ込んでまた面倒な目に合うのを恐れたルークとジェイドは、生暖かい目で見守るだけで聞かないで置いていたのだった (正し某皇帝は親父な発言で色々聞き出そうとしていた事を、ここに明記しておこう)。

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