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冒険10<マルクトルーク ...20081022 * マルクトルーク

成就編の中盤に当たる話。文字通り舞台裏。集団リンチに台詞を付けてくれとリクエストされたので答えてみたら、こんな中途半端なものになってしまった…。 多分後日加筆修正します。ええ、多分。

キムラスカ・ランバルディア王国、首都バチカル。その中心に位置する闘技場へ向かう直前、結局勅命の力に屈し、四人は揃ってコスチュームチェンジをすることになった。

格闘派の正義の味方を想定して、やや厳ついフォルムで無駄に細部にまで拘った、よく見ると実はちょっとセンスの良い全身タイツとフルメット。金に物を言わせて某有名デザイナー (全身タイツを作れと皇帝直々に言われた時、その某デザイナーは何故かさめざめと泣き出したらしい) に作らせた、割と高性能な一品である。

確かに正義の味方っぽくて格好良い…のかも知れない。あくまでもサーカスや演劇の舞台で見れば、だが。街で見かけたらただの変質者だ。即軍を呼ばれるのがオチだろう。

勿論そんなものに嬉々として着替えたのは、本人曰く正義の味方に夢見るお年頃、な約一名だけだった。大人になっても少年の心は忘れない。行き過ぎてピーターパン症候群にでもなる前に世継ぎを作っておけよ、とは他三名の共通した認識だ。

しかし “お年頃” と言ったら一つ違いの死霊使いも正義の味方に夢を見ている事になるが、誰がどう見ても彼は悪の国創設を企む魔王そのものにしか見えない。希望に目を輝かせるよりも、目から光線を出して城一つ破壊するか人を石に変えていそうだ。

死霊使いという名からして中ボス程度を想像し、軽い気持ちで挑んだら大変な事になる。最低でもレベル100は欲しいところだ。実際の本人は、息子共々レベルMAXを軽々と突き破っている状態だが (軽く人間の領域を超えている。流石は魔王とその息子)。


それはともかく。正義の味方へ変装しようと言うのに、一切の躊躇いも恥じらい (あったらあったで怖いが) も無く、権力という大人の汚さを見せ付けつつ軍人三名にお揃いの衣装 (思えば大分寒い光景だ…) を着せた夢見る中年男は、足取りも軽く代表して受付へ向かって行った。

他三名は周囲から向けられる視線にらしくもなく居た堪れなくなっていたので、エントリーに纏わる諸設定は全部上司に押し付ける事にしていた。…それが後々、多大なる後悔を生むとも知らないで。


「つーか、滅茶苦茶違和感あるんですけど」
「ええ、同じく」


不意にそう呟いたのは、赤と青の全身タイツとフルメットに身を包む二人だ。言わずもがな、ルークとジェイドである。

彼らが違和感を感じるのは、別に全身タイツのフィット感がどうのこうのと言う話ではない。視線の先で何やら物騒な雰囲気をかもしつつサーベルを弄ぶ、『アビスシルバー』 についてだ。

その配色は “前回” と異なり、銀と赤ではなく銀と白。ちなみに二色使いなのは彼だけではなく、やはり “前回” 同様ジェイドもルークもそうだった。

しかし色の違いなど些細な事。彼らは、『アビスシルバー』 と言う存在の身長の方が余程気になった。『アビスシルバー』 にしてはでか過ぎるのである。


「…アスランさんって身長何センチだったっけ」
「さて。見る限り、ガイと同じかやや小さい程度かと。…私と大して変わりませんしね」


頭一つ分近く上にあるジェイドのつるんとした顔 (正しくはフルメット) を見上げながら、ルークはこっそりため息を吐いた。“前回” の 『アビスシルバー』 は、余り言いたくないが、ぶっちゃけ男にしてはちょっと小さかったのだ。それが今では見上げなくてはならない。何だかやたらと切なかった。

哀愁を漂わせ、決して 『アビスシルバー』 の隣には立とうとしない息子に、ジェイドはこっそり苦笑した。ついでにアスランの狂犬のような様子にも、今度は隠さず噴出する。

ジェイドとルークは “前回” で慣れていたから実のところ大した抵抗を覚えなかったが、アスランは違う。しかも銀と白という光の加減では白一色に見える全身タイツは、当然と言うべきか彼のお気に召さなかったようだ。苛々しているのが丸分かりである。

まあ、その気持ちも分からないでもない。何せ今現在、彼の好いた女がこのバチカルのどこかに必ずや居るはずなのだ。万が一この変質者スタイルを見られでもしたら、恐らくアスランは一人の男として、名誉を守る為にとりあえず上司の首を絞めるだろう。勿論比喩ではなく物理的に。

それを止めるのが面倒臭いジェイドとルークは、下手に刺激せずに放置しておく事を選択した。アスランのいつに無く若い様子が、見ていて面白かったのもある。


そんな中、黒と金の通称 『アビスゴールド』 がエントリーを終えて戻って来た。ド派手なゴールドにやる気が削がれたのか、僅かにアスランの苛々が収まっている。


しかし折角収まった苛々は、そもそもの元凶、『アビスゴールド』 もといピオニーのお茶目によって爆発する事となった。ちなみにそれにはアスランだけでなく、流石のジェイドとルークも殺意を抱いてしまったようだ。


『正義の暴力は必ず悪に勝つ! 我らは今日も剣を振り回して平和を守る! さあ皆、我らを崇め敬い奉れ! 我らの名は “正義の味方☆アビィイイイイスレンジャァァアアアアアー”!』


闘技場に響き渡ったその声は、マイクを使う必要がない程静か過ぎる空間内に良く響いた。

そしてリングの中央へ向かっていたルークらの動きが、ぴたりと止まる。そんな三人を置いてとっとと足を進めるピオニーに、代表してルークがそっと尋ねた。


「アビスマンじゃなくてアビスレンジャーですか?」
「……突っ込むべきところはそこではないでしょう。…ちょっとそこの金色さん。今の口上、考えたのは誰ですかぁ?」


誰ですかぁ? と伸びた語尾が絶対零度を思わせるものの、金色さんと呼ばれたピオニーはにこやか (実際はフルメットで見えないが、普段ルークの覆面に慣れている彼らにはばっちりわかった) 且つ明快に答えた。


「俺」
「殴る」
「蹴る」
「ボコりましょう」


見事なほどに、ピオニー以外の三人の意見が一致した。あの変な口上の所為で、既にドン引きされていたのに更にドン引きされてしまったのだ。突き刺さる視線が痛い、痛過ぎる。

早速ある程度ボコってみたが、物足りない。真っ先にジェイドが槍を取り出し、ピオニーの肩ぎりぎり目掛けて突き出した。


「天雷槍」
「ってちょっと待てジェイドそれ殺傷力あり過ぎだから!」


ルークは僅かながら常識を思い出して焦った。相手は皇帝。怪我させちゃ駄目な存在。それがこのまま行くと、ちょっと洒落にならない事になってしまいそうだ。ジェイドの後ろではアスランが詠唱を始めてるし。


「天衝堕牙槍」
「奥義だし! 余計悪いっつーの!」
「瞬迅槍」
「いや、だから…」


ルークは考えた。どうすれば二人を正気に戻せるかを。ピオニーに頼るのは論外だ。辛うじて理性が残っているのか攻撃は直撃しないものの、ジェイドの場合余波だけでも凄いので既に瀕死でピクピクしてるし。しかもこれ、もしかして、もしかしなくても日ごろの鬱憤も含めての報復ではなかろうか。

果たして本当に止めていいものかと考え、考えに考えた結果、ルークは適当に気を配りつつ周りに流される事に決めた。この間約一秒。割と即決であった。


「…とりあえずヒール!」
「風塵皇旋衝」
「ヒール!」
「突くべし!」
「ヒール!」
「衝くべし!」
「ヒール!」
「サンダーブレード!」
「ヒーーール!!」


アスランの譜術も決まり、もうそろそろいい加減にしてくれないかなぁとルークの顔が引き攣り始めた頃、漸くジェイドとアスランの気が済んだらしい。

アスランは最初に殴ったのと最後の譜術一回だけだったが (ジェイドに比べると圧倒的に少ない)、もう十分なのだろうか。もうちょいやっても今更問題はないのでは? と一瞬でもそう思ってしまったルークは、きっともう末期だろう。


その後試合は直ぐに始められたが、今回一番殺気立っていたのは集団リンチにあったピオニーではない。ここまでの長い旅で常識を忘れかけていた事に気付いてしまった、哀れなルークであった。

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