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※TOASSについて※
・連作の場合まずブログに仮UPし、ある程度話数が溜まってから1ページに纏め、Novelに本UPします。
(♪) が付いているSSは、まだNovelからリンクが繋がっていない (=本UPされていない) 作品です。
・単品はブログを経由せず、そのままNovelに掲載致しますのでご注意下さい。

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エンゲーブにて2<スレルク逆行 ...20070503 * スレ(?)ルーク

ルーク視点。ティアが完全な脇役と化しています。むしろ蚊帳の外?(笑

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エンゲーブにて1<スレルク逆行 ...20070324 * スレ(?)ルーク

ティア視点。後半とかかーなーりっシリアスです。ティアさんはこうして絆されました編。

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辻馬車にて<スレルク逆行 ...20070301 * スレ(?)ルーク

経過報告。怖いくらい順調且つ思い通りに進んでいます。

まあ色々はしょって説明すると、現在馬車でエンゲーブへ向かって移動中。ティアのファブレ公爵家襲撃と擬似超振動の発動、夜のタタル海峡にて馭者に遭遇。勿論後が面倒なので俺が準備良く持ち歩いてた金を出して乗り、マルクト領土にしっかりばっちり入ってからローテルロー橋の崩壊(by漆黒の翼)を経て、あらやだキムラスカに帰るには遠回りしなきゃならなくなったわ、って所まで“前回”を殆どなぞっている状態だ。

ただ俺が妙に戦い慣れていた所為で何の疑問も持たず当然のように前衛を任され(前回のように戦い方の指導すらされなかった)、俺が妙に強すぎた所為でティアは完全に戦闘不参加傍観状態(これで送り届ける義務がある、とか言うんだぜ。お前正気かとちょっと聞きたくなった)、そして俺が妙に聞き訳が良く優しかった所為で、ティアの態度がちょっと柔らかいのが違いと言えば違いである。


「ティア、あんまり気にしないでいいよ」
「ごめんなさい・・・・・・でもありがとう。貴方優しいのね」


「俺ここ七年ほど軟禁されてたから、土地勘一切無いんだ」の儚い笑顔付き先制攻撃から、「大丈夫、馬車代くらい俺が出すよ。そのペンダントはティアの大事な物なんだろ? 手放しちゃ駄目だ」の優しい微笑付きコンボ、フィニッシュとして自分の失態に打ちひしがれている襲撃犯を心配そうに気遣う先ほどの言葉。正直に言おう、気付けば俺はジェイド並みに鬼畜になっていた。

何せそれらの気遣い全てが偽善とかそんなレベルの物ではないのだ。この優しすぎるくらいの優しさに包まれ己の愚かさを自覚するがいい、わっはっは! の精神である。でも何か慣れてきたのか常識が無いのか、段々効果が無くなって来た模様。ここはやっぱ戦えない振りや気弱そうな振りをするべきだったのだろうか。

俺の優しさに触れ、安堵と尊敬が入り混じった眼差しを向けてくるティアへ。俺は君が思うようなイイ人じゃないんだよ・・・・・・ってかもうちょっと自責の念に駆られていて欲しかったな。せめてエンゲーブに付くまでの数日間は持つと思っていた俺は馬鹿だった。何とたった半日で彼女は持ち直してしまったのだ。これは褒めるべきなのだろうか、それとも貶すべきなのだろうか。

馬車に揺られてガタンゴトン、俺に興味を持ったのか控えめにだが色々聞いて来るティア(まあ一応16歳らしいし、好奇心旺盛でも不思議ではないだろう。メロンだけど)に、拍子抜けと言うか虚しくなってきたと言うか。まーいいや精々興味や好意を持っていてくれ、その内どん底に突き落としてやるから。とか内心で吐き捨てつつ笑顔で対応する。

ああでもどん底作戦を実行する前に、俺の記憶の中の優しくも頼れる姉上のようなティアと同じくらい黒くなれたら。突き落とすなんてとんでもない、むしろ大歓迎しちゃう。あの時のティアはホント頼り甲斐があったなあ、二言目にはジャッジメント、次の瞬間には秘奥義フォーチューン・アーク発動。俺に言い寄ってくる美貌の中年男と変態使用人と俺を自分の所有物と勘違いしてるカスを、こうして背後に障気を纏いながら尽く追い払ってくれたのだ。

それでも何故か無傷でいる美貌の中年男には、アニスが殺劇舞荒拳と十六夜天舞のコンボでとりあえず遠ざけてくれていた。いやそれでも奴はやっぱり無傷だったけど(アレか、人類の神秘ならぬ死霊使いの神秘ってヤツ。まあ怖い結果しか待っていなさそうだから、一生解き明かしたいとは思わないだろう)。


しかしねえ、この時期の大詠師閣下大好き・預言は絶対厳守・無理に感情を押し殺して無駄に肩肘張っているティアは、あんまり好きじゃないんだよ。ってか、こうして違いを並べてみるとしみじみ思う。やっぱり彼女も俺と同じく、あの旅の途中で精神的に成長(いや進化の方が正しいか、成長と言えるほど自然且つ真っ直ぐではなかったから)してたんだって。

別に今のティアだって嫌いじゃないんだぜ? 俺がもうちょい素直で純粋な人格をしてたら、きっと少しくらい尊敬とかしていたと思う。俺より年下なのに立派な心意気だ・・・って、実際年上だけどさ。“前回”偉そうに説教されまくってたのだって俺の行動に問題があったからで、本来彼女は冷静で自律に長けた人物だ。現にほら、こうして当たり障りの無い対応をしていれば、対等かそれ以上の目線で物を言ってもらえる。

でーもー、俺はあの時の、優しくも頼れる姉上のようなティアに早く会いたいんだ。今のティアはあの時のティアとは違うんだから、同一視したり同じ物を求めちゃ駄目だ・・・とか、俺はそんないい子ちゃん的思考は生憎持ち合わせてない。独善的、自分勝手、何とでも言いやがれ。折角の好機だ、俺は俺のやりたいようにやってやる。

まず最初の目的は、ティアの性格を捻じ曲げる事かな。持ち上げて突き落とすでも、徐々に壊していくでも良し。または放置しても良いだろう。時間は掛かるが勝手に“前回”と同じようになってくれるさ。方針はきっと気分次第でコロコロ変わる。つーか俺本当に鬼畜だね。絶対死霊使い殿にも負けていないって。


まあ、7年間もあの何処か壊れた空間に居りゃ、元々捩れていた性格が更に捩れて当然さ。自業自得だけどな、あの閉ざされた空間だからこそ目立つ、“前回”との差に笑いながら泣きたくなったよ。

メイドも白光騎士団連中も両親も、ありえないほど俺の事を愛し甘やかしてくれるし、ガイは俺が生まれて数年で変態の仲間入りをしてしまい(“前回”は確か、俺がアクゼリュスを落としてガイと一旦別行動してから、徐々に変態化してった)、あの天然だが真っ直ぐだったナタリアは、カオスと化したファブレ公爵家に頻繁に出入りしていた所為か、ちょっと腹が黒くなっているようだ。

・・・なあアッシュ、お前の居場所はもう完全に俺の物になってるよ。ああ、お前に会う日が楽しみで仕方がない。お前は俺にどんな絶望を見せてくれるのだろう、そして俺は何を思うんだろうか。ちなみにお前が今のガイとナタリアを目にする日も、実は結構楽しみだったりする。笑うにしろ泣くにしろ現実逃避するにしろ、きっと良い反応を見せてくれるに違いない。

そんな事をティアとのコミュニケーション片手に考えている内に、数日が過ぎ馬車がエンゲーブに着いたようだ。いつの間にか眠っていたティアを優しく揺すって起こし、にっこり微笑みかける。


「おはよう、エンゲーブに着いたらしいよ」
「あ・・・、ご、ごめんなさい。私いつの間に眠って・・・」
「いいんだよ。ティアだって人間なんだから、疲れて当然だしさ」


言いながら紳士宜しく先に馬車を降りてその手を取り、さり気なくエスコートする(ナタリアに仕込まれたから、ここら辺は完璧だ)。それを受けて少し頬を染めながら、何処か恐る恐る地面に足を下ろした彼女を見、俺は自分が嘘偽りの無い柔らかな微笑を浮かべていた事に、気付く事が出来なかった(もしかしたらただ、気付きたくなかったのかもしれない)。



+++++



馭者に用があるからとティアを先に行かせ、その背中を見送ってから、ルークはよく手入れをされた白魚のような手をずいと馭者に差し出した。


「・・・・・・・・・何だ?」
「首都までと言う事で12000ガルド取られたけど、実際ここは首都から程遠いエンゲーブだ。・・・まーさーかー、ぼったくる気じゃあねぇよなぁ?」


ルークは笑顔だった。有らん限りに輝かしい笑顔だった。しかし彼の背後に渦巻くのは、キラキラとしたイミテーションではなく暗雲と雷光。自然の脅威には誰もがひれ伏さずにはいられないとよく言うが、男もまたその例に漏れなかったらしい。


「・・・・・・謹んで返金させていただきます」


商売のコツはなぁ、強者にはさからわねぇこった。数日前自分の息子に言ったその随分と情けない言葉が、馭者の脳内でぐるぐると回っていたのだった。



実はこんなにスレちゃってましたのよ、という話。でもこれは表層意識であって、実際のルクはやっぱり優しくて良い子なんだよ、とか私は思っています。・・・・・・むしろ思いたいです(希望)。

オマケ

スレ(?)ルーク没話1 ...20070301 * スレ(?)ルーク

このSSは、スレ(?)ルーク逆行シリーズの設定を前提とした没話です。

その没具合は以下の通り。
1、開始はタタル海峡、擬似超振動で飛ばされた直後。ティアが意識を失っている最中、ローレライ(しかもさり気なく擬人化)がルークに接触した(⇒本筋である「辻馬車にて」では、開始が題名通り辻馬車に乗った後であり、タタル海峡でローレライと接触なんてしていない)。
2、ルクは実は大してスレてなかった(⇒本筋ではスレまくってます)。

こんな感じで始めようと結構前に触りだけ書いて置いたのですが、やめました。でも書いてしまったのに消すのも勿体無いのでこうしてUPしてみたり(汗

とにかく、このSSはいっそスレ(?)ルーク逆行シリーズの更にパラレルな世界でのお話だと思ってください。
上記の(没)設定を踏まえた上で、続きからどうぞ。唐突に始まって唐突に終わります。

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心優しい坊ちゃまの願い2<スレルク逆行 ...20070228 * スレ(?)ルーク

「・・・・・・・・・ガイ」


ルークの反射神経はやはり素晴らしい。彼の背中に自分の腹がくっ付くとほぼ同時に、ガイは宙を舞っていた。所謂一本背負いとかそんな技を華麗に掛けられて。

勢い良く飛ぶ身体はファブレ公爵にぶつかりそうな軌道を描いたが、流石と言うべきかひらりと躱され壁と仲良くする羽目になった(公爵と仲良くしたくもなかったが、壁に飾って合った絵画の額縁が頭に当たって非常に痛い。クッションになって欲しかったような欲しくなかった様な・・・複雑である)。

余談だかこの威力というか飛翔距離からして、どうやら只の一本背負いではなかったようだ。よく分からないが流石ルーク、どこでそんな技を覚えたんだか。

そんなこんなで物理的に痛む頭を押さえふらりと立ち上がると、ルークはにっこり笑って「大丈夫か?」と聞いてきた。でもなルーク、何だか随所に血管が浮き出ていて、心配そうな口調とは裏腹にド迫力な笑顔になってるよ。むしろ自分で投げといて駆け寄りもせずにっこり笑うという選択肢からして、かなり間違ってるから。珍しく化けの皮がずれてるぞ、俺以外何故か気付いてないみたいだけど。

そんな横道に逸れた思考を展開しつつも、ガイは自分の非を承知しているのでへらりと笑ってただ「大丈夫です、ルーク様」と返した。ここで「あぁ俺はもう駄目だルーク看病して・・・!」とか言い出せば、今度は壁を突き破って城下町まで投げ飛ばされかねない。しかも公爵が目の前にいるので、看病以前に暇を出されてしまうだろう(シャレにならん)。


「そう、ならいいな」


そんなあっさり(フリだけでも心配してくれよ)。ちょっと悲しかったが口には出さない。その代わりいそいそと移動してルークの足元に跪き(他意は無い)、陶器の欠片を拾い始めたのだ。お怪我はありませんか? と跪いたまま爽やかに笑って顔を上げると、ルークに一瞬「お前マゾだったっけ」とでも言いたげに訝しげな(むしろ痛い物を見るような)目で見下ろされ、ガイは思わず恍惚としそうになったが自制した。

その頃になると手際のよいメイド達が掃除道具一式を持ってきて、お怪我はございませんか? ご気分は? お飲み物をお持ち致しましょうか、とルークに過分な程配慮し出す(見慣れた光景だ)。

一方破片を拾っていたガイに対しては、ただずいと紙袋を押し付けるだけ。普段止めてくれと泣きながらお願いしても甘えるように近寄って来る癖に、こんな時のメイド達は皆して厳しい事この上なかった(ツンデレ? いやいや、100%単なる嫌がらせ。大体ルークのツンデレなら光栄だが他の人にやられたって嬉しくない)。

ちなみに彼女達もルーク坊ちゃんに弱く甘く萌えてメロメロ病に発病しているからか、その目がこれ以上あんたにいい所を取られるわけにはいかないのよ、と敵愾心も顕に物語っていた。こんな職場にずっと居れば、治るもの(女性恐怖症)も治らなくて当然である。

普段(ルークの世話や萌えの追及、打倒ヴァン謡将計画に関して)の結束力は強くても、こんな時は皆敵。破片を紙袋に入れながら、思わず仇を見るような目でメイド達を睨み返してしまうガイであった(そっちこそ俺の出番を奪うな!)。


その水面下での攻防の間に、ルークは猫を被り直す事に成功したらしい。屈み込んで「ごめんね、俺がやるよ」とすまなそうに申し出、いつもの心優しいルーク坊ちゃんを演じている(それともこれも地なのだろうか)。

だが疑問どころか違和感すら感じていないだろうメイド達は、嬉しそうに微笑んでから優しくルークを下がらせた(また「ごめんね、ありがとう」と返すルークの表情や仕種が、何と庇護欲をそそり可愛らしいことか! 心底羨ましい、最近俺には全然そんな表情を見せてくれないのに!!)。

それでもルークの本性(?)を知っているのは俺だけだ・・・! と密かに優越感に浸っていると、すっかり忘れさられていたファブレ公爵が、ごほん、とその存在を主張するかのように咳をして。


「・・・・・・ルーク」


厳しい声が息子の名を呼ぶ。少し不安そうに目を揺らせつつ応えたたルークに、周りは思わずキュンキュンしてしまったが、ラムダスに睨まれ静かに見守る事を強制されてしまった(だがそんな執事殿だって密かにキュンキュンしてるはずだ!)。


「ごめんなさい、父上。俺・・・」


公爵の目の前まで来て項垂れるルーク。しかし公爵はそれを途中で遮って、ぽん、と朱色の頭に大きな手を乗せる。・・・ああ公爵、微笑みたいなら素直に微笑んでください。貴方がとっくに親馬鹿と化しているのは皆知っていますし、そんな中途半端にデレっとなるのを我慢したような顔では、思わずどこの末期患者だと心配したくなりますから。この時メイド達とラムダスとガイの心境は見事に重なった。


「・・・・・・・・・次は無いと思いなさい」


そんなホラーな形相をしていた公爵は、ポンポン、と優しくルークの頭を叩きながらそう告げる。その際、息子を慈しむようだった目が、一瞬だけ鋭くなり窓辺に逸らされた。ガイが奇声を発しながら侵入した窓だ、その下にはまだミリーがいる筈である。

彼女が驚きの声を発した(せめてガイがもう少し我慢してゆっくり立ち上がっていれば、と悔いてももう遅い)と同時に、鋭く耳も良い公爵にもその存在を知られてしまったのは明白。彼女が窓の外にいてルークがこの部屋にいた意図も、聡く息子の優しい一面を知っている彼には、手に取るようにわかってしまったらしく。

つまり公爵のこの言葉は、ルークに釘をさしたと見せかけミリーへの赦しであったのだ(息子に免じて見逃してやる、と言外に告げている)。同じく皿を割ったのはルークで無いと気付いたラムダスとメイド達は、ほっと息を付いて苦笑した(本当に、我らがお坊ちゃまは人が良いのだから)。


「父上、ありがとうございます!」


ルークも父が事情を察しながらも、隠れたメイドを赦したと気付いたのだろう。一瞬ぱっと明るい笑顔を浮かべ、しかしすぐに肩を竦めて口元を押さえた(ここは怒られるシーン。喜んではいけない)。次いで上目使いで父の様子を窺うその姿は、外見に似つかわしくない程幼いが、庇護欲をこれ以上と無く刺激してくれて。

結果、一度通常に戻った公爵の顔が再度ホラーと化し、未だ朱色の頭の上に置かれていた手も若干プルプルと震え出して(撫で回してやりたいらしい)。メイド達は恍惚とした表情でルークを見、ガイは爽やかに笑いつつ鼻(血)を押さえる羽目になった(もう本当に皆末期である)。


ラムダスが数えるのも馬鹿らしくなるほど繰り返されたその光景(あまり信じたくないが、日常茶飯事だ)に思わず天を仰いでしまっても、最早誰も気にしやしない(何せそれもまた日常茶飯事だったから)。ちなみに本日のこのルークの行動は、また公爵家の使用人連中の間で逸話として語られる事になるだろう。彼の下がる所を知らない人気は、今日もまたこうして上がり続け屋敷を異空間(=カオス)へと誘ってくのでしたとさ★



根本的にルークは黒い。ちなみにシリーズ名にある(?)は、実際スレまくってるのに傍から見れば普通に純粋なルクたんだから。ガイはルクのそんな二面性に気付いていますが、大して重要視していません。恋愛の前では性別なんて! の転用で、変態の前では猫被りなんて! な心意気です。

心優しい坊ちゃまの願い1<スレルク逆行 ...20070210 * スレ(?)ルーク

ガッシャンガションガタン。何の三段活用だろうと首を捻りたくなるような音が、突如公爵家に響き渡った。その時ガイは裏庭でルークの剣の練習に付き合っていたのだが、途中ちょっかいを出しまくった所為でついにキレられ、笑顔で切り刻まれそうになっていた所で(あの派手な音が鳴るのが後数秒遅かったら、練習中の不慮の事故と見せ掛けお陀仏になっていただろう)。

ちなみにちょっかいの内容は、ルークから「うぜぇ!」だの「ショタコーーーン!」だの「こんの、気違いめぇぇぇえええ!」だの更には「触んなお前の手は一々変態臭いんだよボケが!!」や「言葉攻め!? お前いつそんな高等技術身に付けやがった!」とか叫ばれるようなちょっとセクハラチックな物だった。年々ルークの言う言葉が酷くなっている気がするが、前提としてガイの行動もエスカレートしていっているので自業自得である。

そんなこんなで切り刻まれそうになっていた方も今日こそは切り刻んでやろうと意気込んでいた方も、思わず動きを止めて音の聞こえた方に顔を向けていた。ちなみにガイの眉毛スレスレの所でルークの剣は止まっている。ヴァンでは無いのだからまず最初に眉毛を狙うんじゃない。剣が寸止めされているからこそ思える(剃らされていたらまずヴァンに呪いの言葉をプレゼントしている)言葉を飲み込み、ガイはへらりと笑って言った。


「あの部屋から聞こえたな。行かなくて良いのか?」


優しくて賢い俺のルーク。お前には何が起こったのか大体わかってるんだろう? そんな言葉を付け足し近くの窓(幸運にも発信源は、本当に目と鼻の先であった)を指差すと、ルークは一瞬顔を引き攣らせたが(思わず付けてしまった所有格が気に入らなかったらしい)瞬時に剣を引いて走り出す。そして10歩も行かない所にあった窓を開けるとそのまま身を乗り出し、窓から自宅への侵入を果たしたのだ。

ガイはそれを苦笑して見届けつつ、自らも足を進めて部屋の中を覗き見た。そこには案の定、飛び散る陶器の欠片と木製の台、そして呆然としているメイドの姿が。

その手にきつく握り締められているのは雑巾で、掃除中に何らかのミスをして割ってしまったのか。不運な事に確かこの部屋に飾られていたのは国王陛下から送られた皿だった、メイドが咎められるのは避けられないだろう(良くて食事抜き、悪くて暇を出される)。


「ミリー、怪我はない?」


しかしルークは微笑んで彼女の肩に手を置き、下から覗き込むように安否を問うた。既に身長は彼の方が高いが、その仕種からはどこか幼さが感じられる。・・・さっきまでガイに笑顔で剣を突き付けていたとは、とてもではないが思えない。だがそんな事など露知らず、メイドのミリーは安心したのか肩を震わせて泣き出してしまったのだ。


「も、申し訳ありません、ルーク様・・・。わ、私、私の不注意で・・・!」
「泣かないで、ミリー。大丈夫だから、ちょっと外に出よう?」


外に出よう。その言葉にえ、とミリーが思う間もなく、ルークは彼女を抱き上げて窓の外に立ったままのガイに手渡した。彼が主人に続いて中に入らなかったのは、こうしてメイドをスムーズに部屋から出させる為である。一人状況が分からず目を白黒させている彼女を受け取り、ガイはそのまま(ミリーを腕に抱いたまま)窓の下にしゃがみ込んだ。次の瞬間聞こえて来たのは、荒々しくドアを叩く音とそれを開く音。

気配で室内に残るルークが窓を隠すように立ったのを悟りながら、ガイは人差し指を口元で立てた。呆然とこちらを見るメイドに、口を閉ざして動くな、と言外に告げたのだ。そうすれば、彼女の存在は少なくとも新たに部屋に入ってきた者達には気付かれない。誰かが態々裏庭まで回ってきて、窓から侵入しようとしない限りは。


「ぼ、坊ちゃま!? こんな所で何を!? これは・・・!」
一瞬の静寂の後、今度聞こえてきたのはラムダスの声。部屋の惨状と陶器の残骸を見て、流石の彼も動揺しているようだ。声にいつもの落ち着きがない。対するルークは落ち着いた物で、しおらしく「ごめん、ラムダス」と謝罪の言葉を紡いだのだった。


「ふざけてて割っちゃった。父上と母上・・・それから叔父上にも謝罪しにいかなきゃ」
「坊ちゃま・・・」


詳しくお聞かせ下さい。及ばずながらこのラムダス、力になりますぞ。と執事殿が気遣わしげに声を掛けるのを、ガイはううむと小さく唸りながら聞いていた。他の使用人ほど顕著ではないので気づかなかったが、既にラムダスもルーク坊ちゃんに弱く甘く萌えてメロメロ病に侵されてされていたらしい(有能で機械的な執事によるこの明らかな気遣いは、そう判断するのに十分であった)。

密かに開かれていたトトカルチョの結果が漸く出たな、ははは大儲けできそうだと内心で呟いたところで、はたと我に返った。えーと。今自分の腕の中に居るメイドさんは、女性であり、女性であり、女性であって。人命救助とは言え密着とかしちゃってるかなぁなんて脂汗の滲む全身を痙攣させながら現状の把握に努めてしまい、ガイは瞬時にホールドアップして飛び上がった。


「ほわわわぁあぁあああああうええええぇぇ!!!」


何言うとしてたんだ自分、とどこか冷静な頭で思いつつも窓によじ登り、「きゃっ」と声を上げて膝から転げ落ちたメイドと「え」と呟いたラムダスとその後ろに居るメイド達、更にはいつの間に登場していたのかファブレ公爵にまで見守られる中、ガイは恥も外聞も捨て(むしろちょっとラッキー? とさえ思った)窓の直ぐ傍に立っていたルークの背中にへばり付いたのだった。



→2

ナタリア襲来2<スレルク逆行 ...20070106 * スレ(?)ルーク

ガイはまず自分の耳を疑った。無意味にも目を瞑って小刻みに頭を揺らし、耳も密かに穿って見たが、少女の押し殺した・・・はっきり言って不気味な事この上ない笑い声が他の音に変換される事は無く。それを認識した瞬間じわじわと込み上げて来たのは、本能的且つ女性恐怖症が悪化しそうな程の恐怖。

ナタリアの細い背中しか見えないのが尚更恐ろしい。まるで御伽噺に出てくる、暗闇の中トカゲやら何やらを大釜で煮る魔女のよう。バックミュージックは聞こえるはずの無いトカゲの悲鳴と、釜の中の液体が火も無いのに沸騰する音、そして押し殺した笑い声・・・・・・。


「・・・・・・・・・シャレにならないな・・・・」


釜の中身まで想像して後悔した。本人にその気は無くとも現実問題として、ナタリアは時折魔女の作る謎な料理以上と思われるものを作ってくれるのだ。氷のように冷たいのに沸騰する蛍光ピンク色のシチューだって、彼女の手にかかったら3分でできる(常識なんぞ通用しない)。

ちなみにそれは記憶を失う前のルークの為に作られた物だったのでガイは口にしていないのだが、匂いだけでもしばらく手足が痺れて動く事が適わなかった。頬を染めたナタリアに「さぁ、お食べになって」と差し出されてしまった(退路を奪われた)当のルークの方は、あの時ばかりは眉間の皺とさようならして絶望的な表情を浮かべていたし。その後奴がどうなったかは、どうか聞かないでやって欲しい。


そうしてしばらく過去の幻影に顔を蒼くして俯いていたガイだったが、不意に小さく名を呼ばれて反射的にそちらの方に視線を向けた。見ればナタリアの更に向こう側から、ルークが同じく顔を蒼くして必死に目で助けを求めてくるではないか。

助けなくては・・・とは思うが、ナタリアの未だ絶え間なく続く(息継ぎをした気配すらないのに)笑い声を前にしては、例え溢れ余りウザイと言われる程深い愛情を以ってしても手も足も出せず。申し訳ないが命に危険はないはずだと判断し、ぎこちない動きで視線を逸らさせていただいた。途端に聞こえてきた「てめー生きて帰ったらぶっ飛ばす」というドスの効いた呟きにも気付かなかった振りをして(というかルークはこの現状を死の危機に瀕していると認識しているらしい)。

いっそこのまま逃げてもいいだろうか。しかしガイがそう思って一歩後ずさった瞬間、それを見計らったようにぴたりと笑いを止めたナタリアが、漸くこちらを振り向いたのだった。


「ガイ」
「は、はい!」


振り返ったその顔は般若か修羅か変態(だってあの笑い方、どう考えたって貴婦人のそれではない)か・・・と戦々恐々としていたのだが、彼女の浮かべているのはそのどれもを裏切る予想外の表情。何と可憐にも頬を染めて、恥らうように口元を白魚のような指先で覆っていたのだ。その姿からは先ほどまでエンドレスで響いていた「ふっふっふっふっふっふ」という不気味な笑いを発していたとは、とてもではないが思えず。

やはり空耳(にしては長い事聞こえていたが)だったのかとへらりと引きつり気味の笑いを浮かべると、ナタリアはやはり恥らうように斜め下に視線を移し、「ガイ・・・わたくし目覚めてしまいましたわ」と唐突に言ったのである。


「は?」


目覚めた。グッモーニンの意味で無い事は明白だが、果たして何に。端的に問い返してみても聞いているのかいないのか、ナタリアはすっと片手を胸に、反対の手を虚空へ向けて(まるで貴婦人をエスコートしようとする王子様の如く)伸ばし、その視線もまたぼんやりと虚空(伸ばした手の先にお姫様の幻影でも見えているのかもしれない)を見つめている。

娘命なインゴベルト陛下が見たらすぐさま絵に収めようとする位大変絵になる体勢だが、今彼女が居るのは少女趣味な上現在進行形でうしにんの着ぐるみを着ている少年の私室。何故か圧倒される(ガイの背後にいたメイド達は若干目がうっとりしている)がとにかく滑稽だ。


「殿下・・・・・・?」


心なしかナタリア本人の目もうっとり(何妄想してんだこのお姫様)している事に気付いてしまい、一瞬もしかしたら普段の(ルークの世話に至福を感じている)自分もこんな顔をしているのかもしれない、と嫌な考えが過ぎったが、必死で否定(むしろ開き直り)した。まだ変態にはなりたくない(既にショタコンと呼ばれていようとも)。

そして呼ばれたナタリアと言えば、いつもの「尊称で呼ばないで下さいな」という言葉も吐かずに伸ばしていた手を胸元で組みなおし、夢見る乙女の顔で続けたのである。


「ガイ、貴方は『紫の上計画』をご存知かしら。幼な妻を自分の好きなように育てていく、古代の萌っ子育成シュミレーションゲームの如き戦法ですわ。それぞ王族の夢、わたくしが目覚めた物! 安心なさって、わたくしは絶対に最後までルークを幸せにして差し上げますわ」


ナタリアの背後でルークが絶望的な表情をした。ガイは一瞬「それは俺の夢だ!」と言いそうになるのを抑えるのに苦労し、ラムダスは卒倒。メイド達は頬を染めてきゃぁきゃぁ言っている。しかし観衆など気にしないザ☆王族ナタリア殿下は、ルークそっちのけで自分の世界に浸り続けたのだ。

曰く「普通は殿方が行う事ですけれどよろしいですわよね。わたくし今なら何故かルークにロザリオを渡して薔薇色に染まった頬と潤んだ瞳でお姉様と呼ばれても構いません・・・・・・むしろどんといらしてな状態ですし。もう薔薇でも百合でもいっそ殿方にでも何でもなりますわ。そう、わたしくがやらねば・・・! ルークをわたくし好みの萌っ子へと育成するのです。そしてゆくゆくは優しく抵抗する術を奪ってあんな事やこんな事を教えて差し上げるのですわ! ふ・・・・・・ふふふふふふふふ、ぐふv」。・・・怖すぎる(しかもぐふって言った、今このお姫様ぐふって言った!!)。


しかしガイは我に返ると同時に、真剣に悩み始めた。壁に張り付くまで後退して本気で怯えているルークを、ここは男らしく浚ってさっさと既成事実を作ってしまうべきか、いっそナタリアと手を組むべきか。どの道ルークの明日はピンク色と虚脱に染まっているだろうが、最終的にどいつもこいつもグルになってしまい、彼に救いの手が差し伸べられる事はなかったとさ★

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